三菱製紙 統合報告書2023
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代表取締役 副社長執行役員眞田 茂春24黒字化・成長への道筋をつけた1年となりました。バッテリーセパレータや電子工業材料などが着実に成長してきたことや、イベントの回復などによってインクジェット用紙の販売が好調であったことなどが増益の要因です。 一方、紙素材事業の損益は、前期比1億1,300万円損失額は縮小したものの▲30億9,500万円と非常に厳しい数値でした。前期にセグメント全体の赤字の大きな要因だったドイツ事業は、製品価格改定の効果で黒字転換しましたが、国内は原燃料価格の高騰に価格改定が追い付かず、大幅な赤字を計上する結果となっています。 2023年3月期は数値的には満足できるものではありませんが、機能商品事業を成長させたうえでドイツ事業のフレンスブルク工場売却や国内の子会社統合など、コストダウンにつながるグループ組織改革を進め、将来に向けた収益改善への道筋をしっかりとつけられた年度になったと思います。2024年3月期はその成果が着実に数値に現れてくる1年になるでしょう。価値を生み出す成長戦略■ 財務責任者メッセージ 2023年3月期は、もともと上昇基調だった原燃料価格にロシアのウクライナ侵攻が加わり、世界的な原燃料価格高騰や経済の先行きが不透明な中でのスタートとなりました。その後も戦争の長期化による原燃料価格の高止まりや急激な円安進行により、当社の生産コストも多大な影響を受けました。また、新型コロナウイルス感染症の影響については、国内や欧米などでは回復が進みましたが、中国市場はゼロコロナ政策のもと経済活動の停滞が生じ、機能商品事業を中心に販売面で影響を受けました。 このような厳しい事業環境下でしたが、原燃料価格の高騰に対してあらゆる製品で価格改定を進めるとともに、様々なコストダウン諸施策を実行した結果、連結営業利益は9億6,800万円と、当初の公表値25億円には届かないものの、前年の▲2億4,800万円からは改善して営業黒字に転換しています。 セグメント別の実績では、機能商品事業の損益は、前期比11億9,000万円増の41億6,300万円中期経営計画の達成に向けて、営業利益50億円アップを実現し、次につなげる1年にしていきます

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