コート紙タイプは、上記したようにインクジェット記録の専用設計で、普通紙よりも格段に優れた画像品質が得られます。市場に最も多く流通しているインクジェット用紙がこのタイプです。コート層の開発によって、紙に限らず写真用印画紙、フィルム、金属箔、布帛などにインクジェット適性をもたせることが可能となってきています。
右記の写真は、当社の代表的なインクジェット用紙の断面図です。 コート層の主成分には、高分子系と多孔性微粒子系があります。高分子系ではゼラチンを想像して下さい。また多孔性微粒子系はシリカゲルを想像して下さい。両者はインクを吸収する原理が異なります(「インク吸収の原理」で図解)。
市場で最も高価とされるインクジェット用紙が光沢紙です。写真印画紙やアート紙などのメディアに類似した質感を有するインクジェット用紙であるからです。
光沢紙は、高分子系および多孔性微粒子系共にあります。光沢は表面の平滑性によって得られます。光沢メディアとしては、写真用印画紙あるいはフイルムなどの平滑性のあるベースに高分子系コート層を設けた商品が主流です。これら以外にも、写真用印画紙あるいはフィルムなどのベースに多孔性微粒子系コート層を設けた商品や、紙をベースにした多孔性微粒子系コート層を設けた商品があります。それぞれ一長一短ありますが、今後の傾向としては多孔性微粒子系コート層を設けたインクジェット用紙が主流となっていくと考えられます。
コロイド溶液を塗工するだけである。コロイド溶液は不安定であり、またコロイド溶液を塗工し乾燥すると、出来た皮膜は一般に亀裂が入る。亀裂を起こさないために、乾燥条件や配合を管理する必要がある。
※右上の写真は、代表的なフィルムベース系光沢紙の断面図を示す。
高分子溶液をベース上に塗工するだけである。
※右上の写真は、代表的な印画紙ベース高分子系光沢紙の断面図を示す。
第1層はマット紙同様に塗工し、上層に光沢発現層としてコロイド微粒子層を設ている。光沢発現層を塗工後、湿潤状態にある表面を加熱した鏡面ドラムに圧着し、紙ベースの裏面から蒸気を逃がして乾燥させる、いわゆるキャスト法と呼ばれる方法で製造。
※右上の写真は、代表的な紙ベース多孔性微粒子系光沢紙の断面図を示す。