インクジェット用紙は、保存中に印字面が黄色変色する現象がまれに起こります。黄変化には発生原因によっていくつか種類があります。
クリアファイルの材料の中には酸化によって変色したり、脆くなることを防止するために酸化防止剤が多く含まれています。フィルム中に添加された酸化防止剤は、微量ですが蒸気として拡散しています。インクジェット用紙をクリアファイル中に入れておくと、クリアファイルから拡散した酸化防止剤が用紙の表面に吸着します。インクジェット用紙が顔料を塗工してできたインク吸収層をもっている場合、表面は多孔性で表面積が大きく、化合物が吸着しやすく、化学反応を起こしやすい場となります。吸着した酸化防止剤は空気酸化されて黄色く変色します。
日光黄変には2つの理由があります。第1には、インクジェット用紙に添加した蛍光剤や着色剤が光によって退色することです。第2には、長時間紫外線を浴びることによって紙そのものが変色したり、塗工成分が変色することです。
高い温度や高い湿度、例えば50度80%などの環境下にインクジェット用紙を放置しておくと黄色くなることがあります。この現象は、高温恒湿によって蛍光剤が破壊されたり、環境中に存在する酸化されやすい物質がインクジェット用紙の表面に吸着して変色するなどの複合因子によって発生します。
テープは薄いプラスチックフィルムと糊剤からなっています。これらの中にも一般的に酸化防止剤が含まれています。ファイル保存黄変と同様の原理で黄変化します。
輪ゴムやゴムロールには、保存中に堅くならないように酸化防止剤が練り込まれています。ファイル保存黄変と同様の原理で黄変化します。
黄変化を避けるには、空気が流れる環境にさらさないことが重要です。