三菱製紙 統合報告書2025
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11 特に、デジタル化の波は紙の需要構造を根本から変えており、また、原材料価格の高騰が事業運営に多大な影響を与えている中、天然素材である木材を原材料として活用し、「森の循環」「サーキュラーエコノミー」に貢献している企業として、カーボンニュートラルへの対応といった社会課題への取り組みも、喫緊の課題です。先行き不透明な状況のなか、私たちは抜本的な構造改革が不可欠であると強く認識しております。そのことは、経営陣だけでなく現場の従業員一人ひとりも、肌で感じていると思います。過去の成功体験からの脱却 三菱製紙株式会社は、来たる2028年4月に創立130周年を迎えます。次のステップに繋がるこの節目に向けて、私たちは「“SHINKA”する130年企業へ」という中期経営計画(2025年度-2027年度)を策定いたしました。これは単なる数値目標の羅列ではありません。過去の成功体験にとらわれることなく、伝統と革新を両輪に、全社一丸となって変革と成長への挑戦を続けるという強い決意の表明です。 私たちは、他社と差別化したアート紙やコート紙でより美しい印刷仕上がりを表現し、感圧紙や感熱紙で可変情報をオンデマンド印刷で提供してきました。一方、京都写真工業をルーツの一つに持ち、写真印画紙やインクジェット用紙で美しい画像をお届けするといった分野において、特色のある独自性の高い様々な機能を付加した製品を生み出してきました。そうした創造力をベースとしながら、新たな機能性材料を追求する等、時代の変化とともに常に技術を磨き、製品の可能性を追求してきました。しかし、昨今の事業環境は絶えず変化しており、過去の120年を超える実績と経験だけでは未来を保証することができない状況となっています。構造改革の軌跡と次なる挑戦 前中期経営計画(2022年度-2024年度)では、「選択と集中」と「新事業拡大」を基本方針に掲げ、収益力強化に努めてきました。しかし、連結売上高1,950億円、営業利益75億円という目標に対し、実績はそれぞれ1,759億円、46億円と未達に終わりました。未達の最大の要因は、高収益の機能商品事業を次なる成長軌道に乗せるための戦略投資を実行しきれなかったことにあります。特に、グローバル市場での事業拡大が道半ばであり、ドイツでの収益改善が進まなかったここれまでの振り返り中期経営計画「“SHINKA”する130年  企業へ」の経営目標達成に向けて全社一丸となり変革と成長に挑戦します

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