67 前年に引き続き、執行側の業務執行状況に対する監督、取締役の相互監視、報酬に関するガバナンス、ステークホルダー視点の議論、企業価値向上に資するサステナビリティ経営の実現に向けた議論等に関しては概ね適切に機能している。一方で、資本コストや株価を意識した事業ポートフォリオ運営と経営資源配分等の中長期的な経営戦略に関する議論や、経営戦略に連動した人財戦略についての議論については更なる充実が必要との認識が示された。「資本コストや株価を意識した経営」については前年に引き続き検討しているものの、投資家の視点を踏まえた適切な開示が更に求められる。また、人財に関しては、総合的に経営戦略とリンクさせた積極的なアプローチでの議論を行っていく必要がある。 「株主の森」の創生や「研究開発IR説明会」等のSR・IR活動は、ステークホルダーエンゲージメントとして評価できる。しかし、プライム企業として株主との対話、機関投資家やアナリスト向けのSR・IR活動に関しては工夫や改善の余地があり、取締役会で議論を深化させる必要がある。また、オフサイトでの意見交換等の機会を設けたことで、取締役間の課題共有と更なる取締役会の活性化が進んだ一方、取締役会で議論された中長期案件についての継続的なフォロー強化が課題として挙げられた。加えて重要業績評価指標(KPI)等、適切な目標設定によるモニタリング手法の更なる高度化を図る必要があり、同時に、スリム化した子会社経営に関する定期的な実態報告によりグループ経営の強化を図る必要がある。 中期経営計画のモニタリングについては前年度より改善が図られ概ね適切である。中期経営計画策定については作成過程で中間報告があり、今後更に議論の深化に取り組んでいく。 サステナビリティ推進活動の実績や課題についての議論は前年から改善は見られたものの、更に実効性を高めるため、具体的な施策についての議論を進めていく必要がある。 人財戦略に関する網羅的な課題は提示されているが、労働市場の変化や社会構造の変化に合わせた戦略構築・見直しが必要である。サステナブルな人財確保や従業員エンゲージメントの向上、労働条件の改善や処遇の向上、人財育成等に向けた制度の検討・整備を進めるとともに、経営戦略に連動した総合的な人財戦略についての継続的な議論が必要である。③ 取締役会の機能④ その他 前年度の実効性評価において抽出された課題(①中期経営計画のモニタリングと中期経営計画策定の議論、②サステナビリティ課題の議論の深化、③人財戦略に対する議論の充実)について、以下のとおり評価する。① 中期経営計画のモニタリングと中期経営計画策定の議論② サステナビリティ課題の議論の深化③ 人財戦略に対する議論の充実 上記の評価結果を踏まえ、企業価値向上と取締役会の更なる機能発揮に向けた以下課題を抽出し、取り組みを進めていく。1. 経営戦略にリンクした総合的な人財戦略に関する議論の深化2. 中期経営計画に関する実行状況の確認3. 子会社に関する情報共有と監督の強化4. 品質保証に関する体制と運用の監視前年度の実効性評価で抽出された課題の改善状況抽出課題および取り組み
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