71的にアドバイスしていきたいです。特に、この計画の鍵となるのが研究開発体制です。半導体業界は常にイノベーションが求められる世界でした。研究開発部門から「こんなことをやりたいから、もっと人とお金がほしい」といった現場の熱意や斬新なアイデアをもっと積極的に取締役会で議論できるように、私が後押しできればと考えています。そうすることで、この計画の「SHINKA」という部分が、本当の意味で実現していくのではないかと感じています。朱 まだ全体像を把握している段階ですが、経営陣が示した成長戦略がうまくいくための「条件」がきちんと整っているかを、しっかりと見ていきたいと思っています。具体的には、この計画を実行するために必要な人財や、財務的な資源が十分に確保されているか、そしてそれが株主の期待に応えられるものか、といった点です。戦略の実現可能性を客観的に評価し、必要であれば代替案やリスクヘッジ策を促すことも社外取締役の役目だと考えています。長期的な視点に立ち、大胆な意思決定とそのためのオープンなコミュニケーションや評価がなされるよう、貢献していきたいと考えています。渡邉 企業のステークホルダーには多様な立場や思いがありますが、共通の目標はこの会社を成長させることです。私は事業再生を取り扱う弁護士として、利害関係者の調整をしてきた経験から、建設的な対話を通じて会社と多様なステークホルダーの利益を調整し、成長に向けた議論が進むよう貢献したいと考えています。当社のIR活動はまだ発展途上ですが、新しい部門もでき、これから充実していくでしょう。決算報告会のような場にも、より多くの投資家の方々にご参加いただき、トップと投資家の皆さんが直接対話する機会として、建設的な議論を深めていければと思います。株主や投資家の皆さまからの厳しいご意見も真摯に受け止め、それを経営に活かしていく。その対話のプロセスこそが、企業価値を高める上で不可欠です。灘原 ステークホルダーとの対話については、紙パルプから機能性材料という新しい商品へのSHINKAに合わせて、顧客や投資家へのコミュニケーションのあり方も変えていく必要があると感じています。これまでの紙製品とは異なり、機能性材料は今まで以上にBtoBのビジネスの要素が増えてくると思います。株主や投資家の皆さまとの対話に加え、顧客の課題に深く入り込み、共同でソリューションを開発していくような、より密接な関係性が求められます。半導体業界で培った顧客密着型の製品開発や対話のノウハウを、この会社に活かしていきたいです。朱 三菱製紙が属する産業は、決して容易ではない環境にあると認識しています。だからこそ、機能性材料への転換という方針は、困難な道のりではあるものの、慎重かつ確実に進んでいく必要があると捉えています。どの分野に経営資源を集中させるのか、その選択の妥当性が会社の未来を大きく左右します。市場の成長性や自社の強みを冷静に見極め、フォーカスを定めていくことが肝要です。長期的な視点に立ち、大胆な意思決定と、そのためのコミュニケーションや評価を株主とオープンなマインドで行っていくことが重要です。株主と会社の間でその様なコミュニケーションが常に維持・発展していくよう、私自身も貢献していきたいと思っています。ステークホルダーとの対話と 今後の展望
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