73ており、会社の課題を広い観点から見ております。 一方で、現場で頑張る人々と経営層の間で、考えが双方向で共有されているかも非常に重要で、滝沢さんと同じく、直接話を聞いて情報把握に努めています。各監査役は、経営者、財務や人事・IR、製造技術、税務会計やサステナビリティの専門的知見を持っており、それぞれが関心のあるテーマを持ち寄り、共有し、全体としてバランスの取れた監査テーマを設定しているところが、当社監査役会の強みではないかと思います。住吉 企業にとって、ガバナンス態勢が着実に強化されていくことがステークホルダーからの信任を得る前提と考えますが、今回、新たに社外監査役の任を担うにあたり、これまでの一般企業での経営経験を通じて、その役割を果たしたいと考えています。そのうえで、当社の収益構造に強い関心を持っています。生活・社会インフラを担う重要なポジションにある製紙業界の低位な収益性や、PBRが1倍を超えている企業がほとんどない現状に素朴な疑問を感じています。当社は、前中期経営計画での構造改革により、随分と筋肉質になったと伺っていますので、中期経営計画で掲げるチャレンジングな目標の達成に向け、監査役の立場からしっかり関与していきたいと考えています。 住吉 品質不適切事案について、一言で言えば、会社として一本の背骨が通っていなかったのでしょう。トップのメッセージの浸透力が欠けていたのだと思います。ただ、今回の件は、構造改革を進める中で偶発的に発覚したという側面もあり、不幸中の幸いだったのではないでしょうか。しかし、生活インフラを支えるメーカーとしてあってはならないことであるのは間違いありません。 再発防止策は当然発表されていますが、重要なのは、それが形式的な枠組みに留まらないことです。従業員の意識が本質的に改善され、一人ひとり、そして組織に浸透しない限り、この種の問題は繰り返されると思います。そうなれば、会社の経営を揺るがしかねません。この教訓を忘れず、繰り返し会社として何が大切で、何を拠り所としていくのか、その教育機会を持ち続けるべきだと思っています。写真左から 大塚 伸子、住吉 敏幸、滝沢 聡品質不適切事案について ―所感と、監査役の役割
元のページ ../index.html#73