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3つの森
博士

森から木を切ってしまうのは、いけないことだと思いますか?
確かに、なんの計画もなし木を伐(き)ってしまうと、はげ山になってしまい、森の動物たちも困りますし、
土砂崩れ(くずれ)や洪水(こうずい)がおそってくるかもしれません。

でも実は、森は3種類に分けられることができるのです。

 伐(き)ってはいけない森
 伐(き)ってもよい森
 伐(き)らなければいけない森

 この授業では、「3つの森」について学んでいきましょう。
  ※「木を切る」でも間ちがいではないのですが、生えている木は「伐る」で、たおれた木や木の枝などは「切る」だそうです。

     

1.伐(き)ってはいけない森

実は日本の土地の66%は、森林(*1)なのです。
森林は、その生い立ちによって分けることができますが、「人工林」という人の手で作られた森と、「自然林」という人の手を借りずに、勝手にできた森があります。
自然林の割合は、約54%と(*2)、ちょっと自然林のほうが多めです。面積にして約1348万ヘクタール。
自然林の中でも、「原生林」と呼ばれる、昔から木を伐(き)ったり、山火事がなかった森があります。その面積は、約10万ヘクタール(*3)です。
原生林は、自然林の約0.8%、森林全部の面積の約0.4%と、とても少ないのです。

なぜ、原生林が大切なものかというと、とても長い時間をかけて育った森は、そこに暮らす生き物(動物や植物など)も森に住み続けているわけです。
原生林を伐(き)ってしまったり、山火事で失われてしまうと、その動物たちもいなくなってしまいます。そして、もとの原生林にもどるためには、また長い時間がかかります。
そのため、日本にある原生林は、国や都道府県が保護をして、立ち入りを制限したり、木を伐(き)らないようにしています。

2.伐(き)ってもよい森

童話「ももたろう」の「おじいさんは山へ柴刈り(しばかり)に...」とか、「鶴(つる)の恩返し」の「おじいさんは、町へ薪(たきぎ)を売りに...」にあるように、人は昔から森を利用していました。
このような、昔から人間が深くかかわっていた森を「里山」といいます(*4)。里山は、昔からその地域に暮らす人が手入れをしてきました。そこからは薪(たきぎ)だけではなく、落ちた葉っぱを肥料として、またキノコや山菜、クリやクルミなど、利用できるものがたくさんありました。

里山は、一気に木を伐(き)ってしまうようなことをしない限り、また元の姿にもどってくれます。これが「伐(き)ってもよい森」です。

3.伐(き)らなければいけない森

日本の森の木の量は、実は年々減るどころか、毎年増えてきています(*2)。このことは、みんなが自然を守っているからだけではなく、森の木が利用されなくなっているからです。
木が利用されないと、木はどんどん育ちますから、木の量が増えていくわけです。
「木の量が増えていってるのはいいことでは?」と考えるかもしれませんが、木の育ちぐあいによって、ちょうど良い木と木の間隔(かんかく)を保ってやる必要があるのです。これを難しい言葉で「間伐(かんばつ)」といいます。
間伐(かんばつ)を行わずにどんどん木が育ってしまうと、森の下の方まで光が届かず、地面に生える植物が生えてこなくなりますし、木自体も、一本一本が細く、根も弱くなってすぐたおれてしまいます。
そのために、ある程度木が育ったら、計画的に伐(き)る=間伐(かんばつ)する必要があります。
でも、間伐(かんばつ)するにもお金と働く人が必要なのです。一方、だれも利用しないとなると間伐する意味もなくなりますので、そのまま放置されている森もあります。

人工林や里山などは、計画的に木を伐(き)らないと森が荒(あ)れてしますのです。これが「伐(き)らなければいけない森」です。

《参考文献・注釈》
 *1 国土交通省「令和2年度土地に関する動向」(数値は平令和元年度)
 *2 林野庁「森林資源の現況」(平成29年3月31日現在)
 *3 原生自然環境保全地域、自然環境保全地域、都道府県自然環境保全地域の合計(令和29年12月現在)
    http://www.env.go.jp/nature/hozen/about.html
 *4 詳しくは、「環境省 里地里山保全活用行動計画」を参照されたい。
    http://www.env.go.jp/nature/satoyama/keikaku.html

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