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木から紙をつくる

紙は木から作られます。でも、みなさんのまわりに生えている木からどうやってノートや教科書などに使われる紙になるのでしょうか?
紙を作る作業は、おおよそ「木からせんい(パルプ)を取り出す作業」と「紙を作る」作業に分れます。
ここでは、紙の工場の木から紙になるまでを見てみます。

木材チップ

①〜② 木・チップ

まず木を集めます。木は一本の丸太もあれば、細かったり曲がりくねったりして、燃(も)やすか紙以外で使うことができない木もあります。
この木を、いったん「チップ」という、うすい破片(はへん)にくだきます。工場へは、木を切りたおしたところでチップにして、チップ専用(せんよう)の船で運ばれることもあります。

チップを煮てから漂白します

③〜⑧ パルプをつくる(木からせんいを取り出す)

チップを、蒸解釜(じょうかいがま)という大きな装置(そうち)で、水と薬品を入れて煮(に)ます。これで、かたいチップがやわらかくなります。
この中から、木のせんい(パルプ)だけを選り分けます。この時はまだ、パルプは段(だん)ボール箱みたいな茶色い色をしています。
これでは、ノートのような白い紙にはなりませんので、漂白(ひょうはく)という作業で、薬品を使って白くします。
そのあいだに、ゴミをとったり紙にならないような短いせんいを選り分ける作業をします。

真っ白になったパルプ

右の写真は、紙になる前のまっ白いパルプです。

最終的にまっ白いパルプになるのは、チップの半分の量ぐらいといわれています。さて、あとの半分はどこにいくのでしょうか?
実は、パルプにならないところは、回収(かいしゅう)して燃(も)やして、電気を起こしたりしています。紙をつくる工場は、電気や石油も使いますが、「木を燃(も)やして」紙をつくっているのですね。
また、使われた薬品の一部も回収(かいしゅう)されて、また紙をつくるのに利用しています。

⑨〜⑭ 抄紙(しょうし):紙をすく→ 塗工(とこう):紙のお化粧(けしょう)

パルプができたら、いよいよ紙をつくります。
ここからは、ちょっとむずかしい言葉が出てきます。

⑨ ヘッドボックス

パルプと薬品をよく解(と)かして、「ヘッドボックス」という所に入れます。
ここからは、パルプのスラリー(ドロドロの液)をシャワーのようにいきおいよく、「ワイヤー」をめがけて出します。

⑩ ワイヤー

「ワイヤー」とは、プラスチックス製などの網(あみ)です。ヘッドボックスから出たスラリーの内、パルプだけが網の上に残り、パルプの層(そう)、つまり紙が作られます。
ワイヤーは連続した輪のようになっていますので、紙がどんどん作られていくわけです。
ちなみに、ワイヤーの幅は10mを超(こ)えるものもありますので、出来てきた紙のロールもトイレットペーパーのお化けみたいなものになります。

⑪ プレス

ワイヤーから出たばかりの紙は、水をたくさんふくんでいますので、ロールとロールの間をとおして、水をしぼります。
また、ここのしぼり具合で、紙の強さが変わってきますので、良い具合に調整します。

⑫ ドライヤー

みなさんがいつも使ってる、髪(かみ)を乾(かわ)かすのと同じ「ドライヤー」です。でも、紙の工場のドライヤーはとても大きいものです。
紙の工場で使うエネルギーの半分以上は、このドライヤーで使われるといわれています
ここでは、紙を乾(かわ)かして、最適(さいてき)な水分量にします。紙の種類によってもちがいますが、水分量を約5%位にします。

⑬ カレンダー

「カレンダー」といっても「暦(こよみ)」のことではなく、紙をロールとロールの間に通して、紙をおしつぶす装置(そうち)です。
紙をおしつぶすことによって、紙のボコボコがなくなったり、テカテカした光沢(こうたく)がでできたりします。

⑭ コーター

ポスターなどに使われる紙は、印刷したあとに見ばえがよくなるように「お化粧(けしょう)」してあげます。
白い粉(こな)、むずかしい言葉で白色顔料といいます、を水に解かしたものを紙に塗(ぬ)ります。
みなさんの使っているノートのほとんどは、カレンダーをかけるまでの紙をノートにしています。(コーターは通っていません)
教科書は、コーターを通ったものと通らないもののどちらもあります。つるつるして鉛筆(エンピツ)で書きにくいのは、コーターを通った紙です。

⑮~⑯ 仕上げ

ここからは仕上げになります。
ワイヤーの幅(はば)は約5mもありますから、できあがる紙もとっても大きなロールになります。
このままでは運べませんし、なにしろ運ばれた方も切らなければいけないのでこまってしまいます。
ですので、紙を作る工場の中でちょうど良い大きさに切ってから運びます。
おもにロールにするか、一枚(まい)の紙に切るかにします。

⑮ スーパーカレンダー

紙によっては、強くテカテカした感じの光沢(こうたく)が求められることもあります。
そのときは、スーパーカレンダーという強い光沢(こうたく)つける装置(そうち)を通します。

枚葉の包装形態

⑯ カッター

大きなロールから、一枚(まい)の紙に切り出して、100~500枚(まい)にまとめて包みます。

ロールの包装形態

⑯ ワインダー

また、目的によってはロールの方が都合がいいことがあるので、大きなロールを何本かに分けて、小さい巻取り(まきとり)にすることもあります。
右の写真は、小さい巻取り(まきとり)にしたロールですが、小さいといっても幅(はば)は880mm、重さは約600kgもあります。

以上紙の作り方を見てきましたが、
実は、みなさんの「紙すき体験」が大きな工場になっただけで、
紙の作り方は大昔からそんなに変わっているわけではないのです。
紙すき体験の作業と、紙の作り方を比較(ひかく)して見るのもおもしろいでしょう。

「紙が出来るまで」
PDFファイル(A3 962KB)(先生・指導者向け)
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