企業概要
コーポレート・ガバナンス
三菱製紙グループは、「世界市場でお客様の信頼に応える」「常に技術の先端を行く」「地球環境保全、循環型社会に貢献する」を企業理念として企業活動を行っています。この理念のもと、当社グループと社会の持続的な成長(サステナビリティ)を重視した企業グループ経営を推進し、経営の透明性を高めコーポレートガバナンスの充実に取り組みます。
コーポレート・ガバナンス体制
当社は、会社の機関設計として監査役会設置会社を選択しています。独立社外取締役を取締役の3分の1超となる3名選任し、取締役会に求められる役割を十分に果たせる体制を構築しています。監督機能と執行機能を区分し、執行役員制を採用することにより、取締役会のスリム化と経営の意思決定のスピードアップ、業務執行の責任の明確化を図っています。経営陣の指名と報酬について、客観性と透明性を確保する観点から、取締役会の諮問機関として独立社外取締役を委員長とする指名報酬委員会を設置しています。毎月の定例取締役会のほか、必要に応じて臨時取締役会を開催し、法令・定款で定められた事項や重要な業務執行の決定並びに監督を行っています。社外監査役を含む監査役で監査役会を設置し、定期的または必要に応じて監査役会を開催しています。経営方針・経営戦略および基本的な事業戦略について、原則として週1回、執行役員ほかの経営幹部による経営会議を開催し、迅速かつ最適な意思決定、グループガバナンスの徹底、グループ戦略に関する議論および重要情報の共有を行っています。
業務執行面では、事業部制を採り、各事業部に収益責任と権限を持たせ、業務執行体制の強化を図っています。業務分掌規定により組織の責任範囲を明確化し、諸決裁については取締役会規則・同細則ほか、当社諸規則に基づき適正に運用しています。(2022年7月1日現在)
取締役会の実効性評価
当社取締役会は、取締役会全体としての実効性に関する分析・評価のため、取締役および監査役にアンケートおよびインタビューを実施し、その結果に基づいて取締役会において議論を行いました。その現状の認識を共有するとともに、課題の抽出と取締役会の機能発揮に資する取り組みを通じて、継続的に取締役会の実効性の向上を図ってまいります。
1.評価方法

2.評価
(1) 2024年度 評価全般
「取締役会の構成」、「取締役会の運営」、「取締役会の機能」それぞれの観点から評価を実施した結果、当社取締役会は、⾃らに期待される役割および機能が適切に果たせており、また前年度評価で抽出された課題についても⼀定程度の改善が図られていることから、実効性は確保されていると評価できる。
① 取締役会の構成
現状の当社規模においては、取締役会の機能を果たす上で、員数および社内・社外役員の構成⽐率は適切と考えられ、各構成員は概ね⼗分なスキルを有している。また、多様性の観点においては、⼥性社外取締役の再任により、また⼥性社外監査役も併せれば2名体制※が維持(⼥性⽐率は16.7%※)されている。加えて研究・技術分野を専⾨とする国際経験ある社外取締役の就任により多様性が進展し、議論が活性化している。今後は、社内の幹部教育制度の充実等により⼥性を含めた多様性に富む内部役員育成に取り組んでいく。
※2025年6⽉27⽇以降、⼥性取締役+監査役3名体制(⼥性⽐率25%)
② 取締役会の運営
開催頻度、議事運営、決議事項のトレースは概ね適切に実施されている。特に社外役員経営説明会により、社外役員への情報共有体制が改善し事前に⼗分な質疑応答が図られていることは、取締役会における議論活性化と審議の質の向上に寄与していると評価できる。議題については、例えば2024年5⽉に特別調査委員会を⽴ち上げた耐熱プレスボードに関わる品質不適切事案を踏まえた対応や再発防⽌への取り組み等についても議論を重ねたほか、社外役員が関⼼を持つ事項については報告事項として適宜報告されている。また、議⻑による⾃由に発⾔できる雰囲気づくりや研究開発の課題・テーマに関する 説明会の実施は、社外役員からも評価されている。
③ 取締役会の機能
前年に引き続き、執⾏側の業務執⾏状況に対する監督、取締役の相互監視、報酬に関するガバナンス、ステークホルダー視点の議論、企業価値向上に資するサステナビリティ経営の実現に向けた議論等に関しては概ね適切に機能している。⼀⽅ で、資本コストや株価を意識した事業ポートフォリオ運営と経営資源配分等の中⻑期的な経営戦略に関する議論や、経営戦略に連動した⼈財戦略についての議論については更なる充実が必要との認識が⽰された。「資本コストや株価を意識した経営」については前年に引き続き検討しているものの、投資家の視点を踏まえた適切な開⽰が更に求められる。また、⼈財に関しては、総合的に経営戦略とリンクさせた積極的なアプローチでの議論を⾏っていく必要がある。
④ その他
「株主の森」の創⽣や「研究開発IR説明会」等のSR・IR活動は、ステークホルダーエンゲージメントとして評価できる。しかし、プライム企業として株主との対話、機関投資家やアナリスト向けのSR・IR活動に関しては⼯夫や改善の余地があり、取締役会で議論を深化させる必要がある。また、オフサイトでの意⾒交換等の機会を設けたことで、取締役間の課題共有と更なる取締役会の活性化が進んだ⼀⽅ 、取締役会で議論された中⻑期案件についての継続的なフォロー強化が課題として挙げられた。加えて重要業績評価指標(KPI)等、適切な⽬標設定によるモニタリング⼿法の更なる⾼度化を図る必要があり、同時に、スリム化した⼦会社経営に関する定期的な実態報告によりグループ経営の強化を図る必要がある。
(2) 前年度の実効性評価において抽出された課題(①中期経営計画のモニタリングと中期経営計画策定の議論、②サステナビリティ課題の議論の深化、③⼈財戦略に対する議論の充実)について、以下のとおり評価する。
①中期経営計画のモニタリングと中期経営計画策定の議論
中期経営計画のモニタリングについては前年度より改善が図られ概ね適切である。中期経営計画策定については作成過程で中間報告があり、今後更に議論の深化に取り組んでいく。
②サステナビリティ課題の議論の深化
サステナビリティ推進活動の実績や課題についての議論は前年から改善は⾒られたものの、更に実効性を⾼めるため、具体的な施策についての議論を進めていく必要がある。
③⼈財戦略に対する議論の充実
⼈財戦略に関する網羅的な課題は提⽰されているが、労働市場の変化や社会構造の変化に合わせた戦略構築・⾒直しが必要である。サステナブルな⼈財確保や従業員エンゲージメントの向上、労働条件の改善や処遇の向上、⼈財育成等に向けた制度の検討・整備を進めるとともに、経営戦略に連動した総合的な⼈財戦略についての継続的な議論が必要である。
3.抽出課題および取り組み
上記の評価結果を踏まえ、企業価値向上と取締役会の更なる機能発揮に向けた以下課題を抽出し、取り組みを進めていく。
① 経営戦略にリンクした総合的な⼈財戦略に関する議論の深化
② 中期経営計画に関する実⾏状況の確認
③ ⼦会社に関する情報共有と監督の強化
④ 品質保証に関する体制と運⽤の監視
サステナビリティへの取り組み
私たちの考えるサステナビリティ
三菱製紙グループは、皆さまからの信頼と共感を得ることを通して企業価値の向上を図るとともに、さまざまな社会的課題の解決につなげ、サステナブルな社会の実現に貢献していきたいと考えており、そのためのCSR活動を事業の中で取り組むべき重要な経営課題のひとつと位置づけています。 この認識を具現化するための指針として、『三菱製紙グループ企業行動憲章』を定め、本憲章の精神の尊重と実践を自らの責務としています。

サステナビリティ推進体制
サステナビリティを重視した企業グループ経営の推進のため、担当役員を任命するとともに社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設け、当社グループのサステナビリティ推進活動(コンプライアンス、リスクマネジメント、人財マネジメント、安全・衛生、環境、製品安全、製品品質、人権・労働、情報開示・広報、社会貢献、気候変動など)を組織横断的に統括しています。

コンプライアンス
社会から信頼をいただき、それに応えていく企業であり続けるために、コンプライアンスを重視した企業風土を醸成し、役職員の意識の向上に努めています。
三菱製紙グループ企業行動憲章
当社グループの諸活動についての基本となる考え方を『三菱製紙グループ企業行動憲章』 として定め掲げています。これは当社グループのすべての役職員に適用されるもので、日々の活動において拠るべき指針としています。
2023年3月には、サステナビリティが重要性を増していることを踏まえるとともに、あらためてコンプライアンスおよび安全重視を明確にする趣旨から、企業行動憲章を改定しました。
コンプライアンスに関する研修
当社グループでは、まずライン管理者が研修を受け、それを自職場で派遣社員やパート社員の方も含めた職場にいる全員に展開するカスケード方式による教育を実施しています。
業務に関わる法令等に関する研修
業務に関わる法令などの知識やリーガルマインドを養成するため、弁護士などの専門家を招聘した社内セミナーを定期的に実施しています。当社グループとして本格的に人権デュー・ディリジェンスの取り組みを進めるのに先立って、企業と人権に関する諸問題をテーマに設定し、ビデオセミナーとして、グループ内に展開しました。 その他、法令解説を法務・コンプライアンスグループで執筆してイントラネットに掲示することなども併せ、全社レベルでの向上を図っています。
内部通報システム 『ホットライン』
当社グループは、社内・社外のホットラインを設置し、当社国内グループで働く全ての役員および従業員(パートタイマー、派遣社員等並びに1年以内の退職者を含む)が利用できるようにしています。ホットラインへの通報は、当社内部監査部または社外の専門会社に直接通報できる制度としており、秘密厳守の上、経営トップへ伝達されるようにしています。また、通報状況は定期的に開催されるコンプライアンス委員会において確認を行い、取締役会に報告しています。
リスクマネジメント
サステナビリティ推進体制のもとで総務部が所管するリスクマネジメント委員会がグループ全体のリスクマネジメントを統括し、本社各部署や各委員会、各事業場では、関連リスクに対応するための諸規則・マニュアルの整備、事前予防体制の構築と訓練、問題発生時の再発防止策の策定など、様々なリスク管理強化策に取り組んでいます。
リスク管理体制
リスクマップの充実
リスクを組織横断的に監視し、それぞれのリスクの影響度と発生頻度を分析してリスクマップに整理。定期的に特定と分析評価を実施して、リスクマネジメントの実効性の向上を図っています。
危機管理体制の強化
事業活動において取り扱う情報の管理と保全に関する措置を『情報管理規定』に定めるとともに、運用指針となる『情報取扱に係るガイドライン』を策定し、情報の効率的・統合的な運用と適正な管理を図っています。
情報管理の強化
事業活動において取り扱う情報の管理と保全に関する措置を『情報管理規定』に定めるとともに、この規定を運用するうえでの指針となる『情報取扱に係るガイドライン』を策定し、情報の効率的・統合的な運用と適正な管理を図っています。
「事業継続計画」(BCP)の構築
当社グループは、阪神淡路大震災、東日本大震災の甚大な被害から復興してきた経験があり、緊急時の対応力の重要性を認識しています。『三菱製紙グループ リスクマネジメント基本規程』をはじめ、BCP対策にはその経験が反映されています。各部署・関連会社やグループ全体で安否確認や避難をはじめ、様々な訓練や運用テストを実施し、課題を抽出して改善に努めています。
危機管理体制の構築
当社グループでは、重大な人的被害や設備被害、周辺地域への影響を伴う恐れのある事故や災害が発生した際、企業の社会的責任を果たすとともに社会的信用を確保することを念頭に、迅速な対応にあたるために『三菱製紙グループ 危機管理対応マニュアル』を定めています。さらに、実効性のある危機管理体制を構築するために、各場所や全社規模でさまざまな訓練や運用テストを定期的に実施し、課題を抽出して改善に努めています。安否確認システムを用いた訓練を各場所・国内グループ関連会社でも実施し、当社グループ全体での危機管理体制を構築しています。また、新型コロナウイルス感染対策として在宅勤務と時差出勤制度を併用し、感染拡大の防止に努めています。
情報開示・広報
当社グループは、『三菱製紙グループ企業行動憲章』に企業活動の透明性を掲げ、それに基づいて『情報開示方針』を制定・公開し、適切な会社情報をタイムリーに開示することを宣言しています。ステークホルダーの皆さまに、正確・ 適時・公平かつ継続的に情報を開示するために『情報開示規定』を制定し、ガバナンス統括部広報・IR室が維持運営に当たるとともに、定期的に広報連絡会を開催し、当社グループの情報開示を管理して います。また、フェアディスクロージャーの観点から、決算説明会の資料なども開催と同時に公開しています。
情報開示体制
